30Mar
皆さんこんにちは。和ら会真和塾スタッフの中村と申します。 今週日曜日に行われた真和塾のレポートをしたいと思います。 和ら会真和塾はどこよりも基本的なことを大切にし、基本的なことにこだわっています。 どういうことかと言いますと… 例えば、今回の戸ヶ崎代表の講義でこのように語られる場面がありました。 「理論は可能性のひとつに過ぎない」 臨床において、人の身体というのは必ずしも勉強した知識や理論通りにはいきません。むしろそうならないこともしょっちゅうで、多くの先生が経験されていることと思います。 それでは、どうやって治療すれば良いのでしょうか? 更に、 「(真和塾は)知識よりも枠組みを教えることを重視する」 たくさんの鍼灸に関する本や勉強会があり、どれを採用すればよいのか迷われている先生も多いかと思います。 色々な考え方や理論展開があり、正解は1つでは無いと何となく分かってはいても、どれかを選んでやっていかなければいけない… 登山ルートはいろいろあっても頂上は1つなら、「枠組み」とはその山の登り方とでも言えばよいでしょうか。 採用したルートが倒木で進めない、迂回した別ルートの橋も川の増水で渡れない。その時どうするか。あくまで既存のルートを組み合わせて活路を拓くか。自分で道を切り拓くのか。 同じ患者さまでも今日は先週と違う、同じ治療をしてるのに今日は上手くいかない…どうしてだろう。 インプットした知識や理論といった情報を、「生もの」(表現に語弊ありですが…)の身体を前にどう活かすのか。 そもそも、毎回再現できないのなら理論ってどういう意味があるのか。治すとか治るとか、病むことの意味とは?鍼と灸でできることって? ぼんやりと分かっているようで分かってないような、そんな基本的で大事なこと。 講義を受けながら1人1人がそんなことに思いを馳せる、これからの長い治療家人生という山を登っていくための大きな枠組み作りの時間になると思います。 また、ツボに対しては、 「ツボは病的状況でのみ現れる」 「ツボの本体は機能的なものであり、解剖学的に把握できるものではない(~動脈の拍動部、~筋の溝、~神経の走行上等々)」 「主治証、特効穴はない」 「ツボは形態特性と反応特性からなる」 一部内容がショッキングに感じる先生もおられるかもしれませんが、これも「生もの」である人の身体を戸ヶ崎代表が長年観察して分かった普遍的なもので、ここから和ら会の提唱するツボの四型分類へとつながっていきます。 鍼灸の治療は最終的に、その瞬間に問題のあるツボを手でとらえ、選び、組み合わせ、そこに鍼と灸のみでどんな刺激をするかにつきますが、それらをより効果的に行うためのツボの四型分類~任督中心療法が、当会の柱であり真和塾で学ぶひとまずの到達点になります。 今回は本年度の最終回であり、その核心に至る内容になりました。 講義が終わると、各コース(経絡按摩コース、切経探穴コース)に分かれて実技を行いました。(隔月の臨床直伝コースは今月は無し) 詳しいコース内容は要項をお読みいただきたいのですが、ツボがわかる手、良い治療ができるための感覚開発~鍼灸技術を段階的に体得するためのエッセンスが凝縮されたものになっています。 講義とは一転して、思考することより感じること(分析脳→感覚脳)を主にした時間です。 やはり年度末ということで、経絡按摩コースではペアを組んで腰痛や肩こりといった体幹部の愁訴を抹消(上肢と下肢)の経絡按摩で改善させる、という一年間の集大成的な内容でした。 切経探穴コース最終回では戸ヶ崎代表の特別授業があり、特殊鍼法が取り上げられました。風市を中心に広がる薄い硬結に対して長鍼を用いた水平刺、環跳の非常に固い硬結に対して圓利鍼を用いたものでした。 塾でこれまでに学んだ基礎的な刺鍼、施灸術の応用編で、あくまでもツボの性状や形態に合わせた刺激を行うことの意義を再確認できたと思います。